鬼束ちひろ
鬼束ちひろInterview
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―デビュー、おめでとう。これで鬼束も晴れてプロフェッショナルなアーティストになったわけだけど、この際、鬼束の前の社会的位置だった、学校生活について徹底的にしゃべってもらおうか?そうとうキライだったみたいだね?
鬼「大キライだった(笑)。」


学校について


―VOL.1のインタビューの時“シャイン”が、学校を牢屋だとイメージして作った歌だって言ってたけど、一行目から聞いてみたいな。「恐れのない空気」って、どんな空気なの?
鬼「学校の放課後、忘れ物とか取りに帰ったときとかよくあったんですけど、廊下とかって、なんかものすごいシーンとしてて変な雰囲気というか、学校特有の空気?あれが、なんか、おごそかな空気、あれが『恐れのない空気』。「こわい」じゃないんですよ。なんと言えばいいのか、学校特有の?あれが大嫌いだった。だから、忘れ物なんか取りに帰っても、なんでこんなとこにいるんだろうと思って、いつもダッシュで帰ってた。」

―顔が変わるよね。みんないるときは、にぎやかだけど、放課後になると、にぎやかだった気配だけが残ってて、そこにあるような。
鬼「そうそう。」

―でも、♪恐れのない空気♪と、最初、歌で聴いて、僕はまず、神聖とか畏怖とか、そういうイメージを持ったけどね。
鬼「そうそう、神聖。」

―そうなの?
鬼「でも、キリスト教的な神聖さじゃなくて、もっと生々しい神聖さだったんですよ。放課後とかに行くと、そこにある空気が人をどうかしてしまうような。そういう空気があったんですよ。人間が空気を支配してるんじゃなくて、空気から支配されてるような。とてつもなく抑えつけられてしまうような空気。」

―わかる。
鬼「悪い神聖さ。なんていうんですかね。きれいな神聖さじゃなくて。」

―それが、抑圧とかを感じさせるの?
鬼「そう、それと、学校のすべてが。毎日同じ繰り返しがいやだし。箱みたいなところで勉強するのもきらいだし、他人同士なのに、あんなに密集してるじゃないですか?合う人、合わない人がいるにもかかわらず、ひとつの箱に閉じ込められてる。友達から聞いたんですけど、スクールフォビアとかいう病気があるらしくて、学校の建物を見ただけで、こわい怪獣とかに見えるそうなんですよ。わたしもそれに近い。だからみんなで登校するとか大嫌いだった。」

―学校ってさ、いっつも同じメンバーで、小さな村みたいなものじゃないか?
鬼「うん。」

―あんまり目立っちゃだめみたいな。
鬼「だから、わたし思うのだけど、みんなその家その家でやってるとおりにふるまえばいいのに、学校という建物に入った瞬間、みんな同じになれっていうじゃないですか?それって、わたしにとっては非常識だと思った。学校はやってはいけないことをやってると思った。勉強は大事だけど。」

―ああ、日本の学校って。昔の軍隊のなごりっぽいものな。
鬼「でも、わたしとちがうタイプの人間は学校は大事だ。友情があるからとか、卒業した人たちは学校生活に戻りたいとか、いうじゃないですか、ドラマとかマンガでも。確かに友達ができたことはよかったけど、そんなことより、あの空気には耐えられなかった。遠足もいかなかったし、気分が乗らないときは、風邪ひいたふりして休んだし、ワザと風邪ひくように自分をしむけたこともあった。」



自分というシステム


―世界には自分と同じ人間が三人いるとかいうけど...。
鬼「ほんとですか?」

―いや、なんかそんな気がするじゃないか。
鬼「そんな気がしてきた。」

―自分と同じとは言わないまでも、自分の人間性に似ているシステムの人って今までにいた?
鬼「アラニス。」

―アラニス・モリセット、それは、前のインタビューでも言ってたけど、もう少し具体的に教えてくれる?
鬼「わたしはあそこまで、激しいとは思わないけど、たとえば、悩みの解決法とか、悲しいときには、こうなるとか、うれしいときには、こうなるとか、その行動が似てると思う。人に傷つけられて、みんなダメージを2くらい受けるじゃないですか?ほとんどの人が4のダメージを受けるとするでしょ?わたしはダメージ8なんですよ。たぶん、アラニスも8だと思う。そこが似てると思った。」

―神経が細かくできてるのかな?
鬼「母親や友だちからは、ちひろは考えすぎだとも言われるけど。」

―最近、ダメージを受けたことってあった?
鬼「あるインディーズの映画を見て、人生がこわくなった。」

―どんな映画?
鬼「いや、話すとこわくなるから、とても本質的な映画だけに、よけいこわいんですよ。」

―話題変えようか。鬼束がダメージを受けたとき、具体的にはどういう対処方をとるの?...ぜんぜん話題変わってないな。
鬼「夜に悩む。」

―ひとりで悩むの?それとも友だちに電話するとか?
鬼「それは、いろいろ。」

―学校時代に学校以外のことで、一番悩んだことはどんなことだった?
鬼「恋愛かなあ。」

―ああ、でもどうして男と女の方が深いつながりになるんだろうね?
鬼「それは神話に書いてあるじゃないですか。最初は男と女はひとつだったんでしょ?でも、神様が怒って離したから、今もつながりたくなるんだって。」

―ああ。
鬼「変な意味じゃないですよ。」

―いや、別に変なこと考えてないよ。
鬼「変な意味じゃなく、自分が嫉妬深いじゃないですか?」

―そうなんだ?
鬼「だから、男の人より女の人の方が嫉妬深いんじゃないか?と思ってしまう。自分がそうだから、みんなもそうなんじゃないかと思って。同じ女だから。女ってドロドロしてて、イジメとかにしてもグループで寄ってたかって、そんなのとか知ってるから、いやだと思う。でも、男の人はどういうものかよく知らないじゃないですか?そういう好奇心もある。実際には女の子の友だちの方が多いんですけどね。」

―男でも嫉妬深い奴はいるよ。ドロドロしてるかどうかはわからないけど、独占欲強い奴とか。でも、恋愛感情と友情の感情はどうちがうの?
鬼「恋愛感情はわたしを全部見せられる。友情の感情は全部、見せられない。恋愛の『好き』と、友情の『好き』があるじゃないですか?でも、恋愛の『好き』の方がすっごい強いと思う。友情も『わたし、あの子、大好きだよ』っていうけど、けど、友情って、あの子がいないとわたしは死ぬっていうのはないじゃないですか?でも、へたすると、恋愛の場合はある。そういう、こわい感じが恋愛感情にはある。こわいじゃないですか?恋愛って?どこまでいくか、自分の気持ちの果てがわからないじゃないですか?だから、恋愛の方が深いと思うんですよ。」


<Interview & 構成:尾上 文>
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